不動産業界に興味のある人なら、一度は必ず意識したことのある資格「宅建士」。今回から、この「宅建士」の資格を持っている社員にシリーズでインタビューします。第一段は建物管理建築部の小林律子さんが登場!

(プロフィール)
小林 律子(Kobayashi Ritsuko)
富山県出身。石川高専で建築を学んだ後、富山のハウスメーカーに就職し7年半勤務。結婚を機に石川に移住し、同時にサンリーホームに正社員入社(2014年)。趣味はホタルイカ釣り。

乳児を抱えて試験勉強!「むしろ効率がいい」そのワケは?

――小林さんが宅建士の資格を取得したのは、前職の建設会社にいたときですか?

小林さん:いえ、サンリーホームに転職してきてからですね。

――ご入社は2014年ですから、その年すぐに取得された感じですか?

小林さん:えーっと、うろ覚えですが2014年は出産した年で、産後半年くらいはバタバタで何も手につかず……なので受験したのは確か2015年ですね。それでも子供がまだ小さくて、おっぱいをあげながら勉強して、試験当日も誰かに子供を預けて受けに行った記憶が……。

――0歳のお子さんがいながら試験勉強!?

小林さん:そうそう。子供が寝てから、夜の9時や10時にやっと教科書を開いて。

――よくできましたね。心身への負担も相当だったのでは。

小林さん:いえいえ、むしろ効率的に勉強できますよ(笑)。子供が起きている間は何もできなくて、「勉強したい、勉強したい、勉強したい……」とフラストレーションを溜めて、寝てくれた瞬間に「勉強できる!!!」って爆発的に集中して。家事とかもそうじゃないですか?出かける予定があると「出かける前にあれもこれもやらなきゃ!」ってサクサク進められるけど、特に予定がないとダラダラしちゃっていつまでも家が片付かない、みたいな(笑)。

――それはわかる気がします。それでも、その環境で本当に資格取っちゃうのはすごいんですけど……!

ひたすら読み、ひたすら頭に叩き込む。

――お子さんが寝てからがメインの勉強時間だったとのことですが、勉強方法自体はどんな感じだったんですか?通信講座みたいなものは一切利用しなかったんですか?

小林さん:基本、独学ですね。分厚い教科書を一冊読み込んで、あとは過去問を2年分くらいやりました。

――読むだけ、ですか?ノートを作ったり、書き写したりは?

小林さん:一切していません。読んだものを、そのまま頭に入れるだけ。ノート作る意味ってなくないですか?

――いや、自分の手で書いた方が頭に入ったりすることも……。

小林さん:なるほど……。人それぞれですね。私は学生時代からノートは作らないタイプでしたね……。

――書かずに、読んでひたすら覚えることができるなら、それが一番効率がいいですけど、なかなか常人にはできない気もします。そんなワザが可能な小林さんだから赤ちゃんを育てながらも資格が取れたんでしょうねぇ……。ちなみに、だいたい勉強期間は何ヶ月くらいでしたか?

小林さん:2015年の6月に始めて、10月が試験だったから、4ヶ月くらいです。

――短い!それで一発合格って、ここまでくると、この記事は逆に読者の参考にならないような気がしてきました(笑)。真似できないじゃないですか!

小林さん:すみません(笑)。あ、でも、「5点免除」の制度は有効利用しましたよ!この制度は、既に不動産会社で宅地建物取引業に就いている人に限り、事前に2日間の講習を受けてその時にテストに受かってしまえば試験当日には普通の人より5問少ない問題を受験できる(※試験時間も10分短い)システムです。50点満点中の5点分も合格ライン引き下げられることになるので、かなり有利です。デメリットは1万5000円程度お金がかかることですが、結構みんな使っていますね。

机の上の勉強が、実務とリンクする喜び

――勉強していて面白かったことってありますか?

小林さん:民法の範囲はすごく面白かったです、NHKの生活笑百科みたいで!「AさんがBさんに土地を売りました」みたいな場面で、裁判沙汰になるような事例をいくつも読んでいくんです。基本は紛争のストーリーを解読していく。

――そういう勉強、仕事の役には立っていますか?

小林さん:立っていますよ〜!ただ今の私の仕事より、不動産売買部の仕事の方が宅建が役に立つ場面は多いかもしれませんね。あの部に所属している女性は二人とも宅建士の資格を持っているんですが、「重要事項説明書の説明って、こうやるって試験の時勉強したよね」「うんうん」って確認しながら仕事していますね。そういえば、私が試験勉強している時、分からないことがあったら専務や社長にすぐ質問していたんです。そしたら二人ともすぐに正解の答えを言ってくれて、「なんでその答えになるの?」って聞いたらちゃんと実例の経験が裏にあって。本当に実務とつながっている資格だなぁと思いました。

――小林さんは他にもいろいろ資格をお持ちですが、宅建士については特に実務との関連性が強いと感じるんでしょうか。

小林さん:感じます。例えば建築士の試験って、手書きの製図試験があるんですよ。でも実際今、図面なんて全部パソコン使って書くし、手書きが必要になる場面なんてない。それなのに試験には出るから、製造用具も買わないといけないし、決められた時間内で書ききるために凄まじい時間トレーニングしないといけない……「ただ試験に受かるためだけに」ですよ。しかも、「正確に」のみならず「綺麗に」書かなくちゃいけなくて!(笑)それに比べたら、宅建士はかなり良いんじゃないでしょうか。勉強のモチベーション的にも。

――確かに建築士の試験は肉体的にもハードそう……。

小林さん:それに、宅建士は就職にも有利ですよ。不動産会社は宅建士を一定数必ず雇わないといけない決まりがあるので、すごく極端なことを言えば「仕事ができない人でも、宅建士の資格を持っているなら、雇う価値がある」とも言えるんです。具体的には不動産会社の従業員の最低「5人に1人」の割合で宅建士がいないといけないので、10人の会社なら宅建士は2人必要、仮にもう一人従業員を増やして11人にしたいなら宅建士が3人いないといけないんです。

――宅建士が就職に有利だとよく言われる背景には、企業の側に「会社を大きくしたいなら必然的に宅建士の人数を確保しないといけない」とも言える事情があったんですね。勉強になりました、ありがとうございます!

――「宅建士インタビュー」はまだまだ続く予定です。今回の小林さんは、ある種天才肌(?)とも言える勉強方法でしたが、合格への道は人それぞれありますので、いろんな方のお話をご紹介していく予定です。どうぞお楽しみに!